
電動キックボードが新しい交通手段として注目される中、「もし交通違反をしたら、点数はどうなるの?」「罰則はどうなるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。特に2023年7月の法改正で登場した「特定小型原動機付自転車」(特定原付)は、免許不要で乗れる手軽さから利用者が急増していますが、そのルールはまだ十分に浸透しているとは言えません。この記事では、特定原付の交通違反に関する点数制度の有無、反則金や罰金の具体的な内容について、警察庁の資料などを基に詳しく解説します。
目次
電動キックボード違反の点数・罰則は特定原付のルールが重要
電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の交通違反における最大のポイントは、自動車やバイクのような運転免許の「点数制度」が適用されない点です。ただし、これは「罰則が一切ない」という意味ではなく、違反行為に応じて「反則金」や「罰金」が科されます。罰則の内容は、その違反の重大性や態様によって異なります。
- 点数制度の適用:特定原付は、運転免許を必要としないため、運転免許の点数制度の対象外です。
- 金銭的罰則の発生:信号無視や一時不停止などの道路交通法上の義務に違反した場合は、反則金または罰金が科せられます。
- シェアサービス利用者の独自ルール:Luupなどのシェアサービス事業者は、利用者に対し、交通違反があった場合に独自に利用制限(アカウント停止など)を科す方針を強化しています。
- 16歳未満の運転禁止:16歳未満の者が運転した場合、6月以下の懲役または10万円以下の罰金という重い罰則が科されます。
本記事では、この「点数制度がない」という点と、「金銭的罰則は発生する」という点を踏まえ、特定原付が直面する具体的な違反ケースと、その罰則について詳しく解説します。読者の皆様には、不安なく安全に公道を走行していただくための知識を深めていただくことを目指します。
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記事の要点まとめ
- 特定小型原付(電動キックボード)の交通違反は、自動車・バイクと異なり運転免許の「点数制度」の対象外です。
- しかし、信号無視や通行区分違反などの義務違反には「反則金」または「罰金」が科せられます。
- 飲酒運転や16歳未満の運転など、重大な違反には懲役刑を含む厳しい刑事罰が科される可能性があります。
- 公道を走行するには、軽自動車税の納付、ナンバープレートの表示、自賠責保険への加入が法律で義務付けられています。
電動キックボード(特定原付)の違反点数制度と罰則の基本
特定小型原付はなぜ運転免許の点数制度の対象外なのか?
日本の道路交通法における「運転免許の点数制度」は、運転免許証を持つドライバーの累積違反点数によって、免許停止や免許取消といった行政処分を行うための制度です。特定小型原動機付自転車(特定原付)は、16歳以上であれば運転免許が不要と定められています。
免許が不要であるため、特定原付の利用者は、原則としてこの点数制度の対象外となります。つまり、特定原付で交通違反を重ねても、自動車の運転免許が停止されたり取り消されたりすることはありません。
「反則金」と「罰金」の明確な違い
点数制度の対象外であっても、違反をすれば罰則があります。罰則には大きく分けて「反則金」と「罰金」があり、この二つは性質が全く異なります。
- 反則金:交通反則通告制度に基づき、通行区分違反など比較的軽微な違反に科される行政上の措置です。期間内に納付すれば刑事手続きに移行することはありません。
- 罰金:刑事罰の一種です。信号無視や飲酒運転といった重大・悪質な違反や、反則金の納付を拒否した場合などに、刑事裁判(略式起訴など)を経て科されます。罰金刑を受けると前科が付きます。
警察官から交通違反の告知を受けた際、軽微な違反であれば反則金の納付書(青切符)を渡されます。この納付を拒否した場合や、重大な違反(赤切符)の場合は、検察官による捜査を経て裁判所が罰金を決定します。罰金は反則金よりも高額になることが多く、前科も残るため、ルールを正しく理解し、違反しないことが重要です。
シェアサービスの利用者に対する独自ルール強化の動き
特にLuupなどのシェアサービスを利用している場合、事業者側が独自の厳しいルールを設けている点に注意が必要です。Luupは、交通違反があった利用者に対し、独自に利用制限を科す方針を強化しています。これは法的な罰則とは別に、サービスが利用できなくなるという実質的なペナルティとなります。
特定原付の主な交通違反と罰則
特定原付には、特有の義務と、他の車両と共通の交通ルールがあります。ここでは、特に注意が必要な違反と、警察庁が示す基準に基づく罰則について解説します。
【重要義務】ナンバープレート・自賠責保険・軽自動車税
特定原付で公道を走行するためには、①軽自動車税の納付、②ナンバープレートの表示、③自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)への加入が法律で義務付けられています。これらを怠ると、それぞれ法律に基づき罰せられます。特に自賠責保険に加入せずに運転する「無保険運転」は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い罰則の対象となります。
【重大違反】懲役刑もあり得る違反行為
特に悪質・危険とみなされる違反には、懲役刑を含む厳しい刑事罰が科せられます。
- 飲酒運転(酒酔い運転):5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 16歳未満の者の運転:6月以下の懲役または10万円以下の罰金
- ひき逃げ(救護義務違反):10年以下の懲役または100万円以下の罰金
【罰金・反則金】主な道路交通法違反
特定原付であっても、信号無視や一時不停止など、一般的な車両に適用される道路交通法上の違反行為は、もちろん取り締まりの対象となります。主な違反と罰則は以下の通りです。
| 違反行為 | 罰則の種類 | 金額など |
|---|---|---|
| 信号無視 | 罰金 | 5万円以下の罰金 |
| 通行区分違反(歩道通行など) | 反則金 | 6,000円 |
| 一時不停止 | 反則金 | 5,000円 |
| 通行禁止違反 | 反則金 | 5,000円 |
| 携帯電話使用等(ながら運転) | 反則金 | 12,000円 |
電動キックボードの違反で「捕まった」場合の対処法
もし警察官に交通違反を指摘された場合は、その指示に従ってください。軽微な違反(青切符)であれば、後日反則金を納付します。重大な違反(赤切符)と判断された場合は、刑事手続きに移行し、検察庁からの連絡を待つことになります。いずれの場合も、誠実に対応することが重要です。
特定原付の違反を防ぐために知っておくべき必須ルール
特定原付の公道走行における「5つの必須条件」
違反を未然に防ぐためには、特定原付が満たすべき必須条件を常に意識する必要があります。これらの条件を満たしていない状態で公道を走行することは、それ自体が違反となります。
- 性能等確認済表示:国が定める保安基準を満たした車両の証明である「性能等確認済表示」シールが貼られていること。
- 最高速度:車道では20km/h以下、歩道走行モード時は6km/h以下に制限されていること。
- 年齢:16歳以上であること。16歳未満の運転は法律で固く禁止されており、違反した場合は6月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。
- 自賠責保険:必ず加入し、保険証明書を携行すること。
- ナンバープレート:管轄の市区町村で軽自動車税を納付し、ナンバープレートを取得して、車両に表示すること。
ヘルメットは努力義務だが、安全のため着用を
特定原付のヘルメット着用は「努力義務」であり、着用しなくても罰則はありません。しかし、万が一の事故の際に頭部を守るためには、ヘルメットの着用が極めて重要です。安全のため、ヘルメットを着用して運転しましょう。
特定原付に関するよくある質問(FAQ)
Q. 電動キックボードの違反に点数はありますか?
A. いいえ。特定小型原動機付自転車は運転免許が不要なため、運転免許の点数制度の対象外です。ただし、違反すれば反則金や罰金が科せられます。
Q. 通行区分違反の反則金はいくらですか?
A. 警察庁の資料によれば、通行区分違反の反則金は6,000円です。
Q. 信号無視の罰則は?
A. 特定原付の信号無視は、反則金の対象ではなく「5万円以下の罰金」という刑事罰の対象となる可能性があります。
Q. 16歳未満の運転で捕まったらどうなりますか?
A. 「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」という非常に重い罰則が科せられます。 絶対に運転させてはいけません。
まとめ:電動キックボードは点数なしでも罰則あり!ルールを理解し安全運転を
電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の交通違反は、運転免許の「点数制度」の対象外です。しかし、「違反が許される」という意味では決してありません。信号無視や飲酒運転といった悪質な違反には厳しい刑事罰が、その他の違反にも反則金が科せられます。
特定原付を安全に利用するためには、軽自動車税の納付、ナンバープレートの取得・表示、自賠責保険の加入という3つの義務を必ず果たし、交通ルールを正しく理解し、遵守することが最も重要です。ご自身の安全と、快適なマイクロモビリティライフのために、常に交通ルールを意識して運転しましょう。

