
「特定原付を買いたいけど、どのモデルが安全なのか分からない…」
「『性能等確認済シール』ってよく見るけど、一体何なの?」
2023年7月の法改正で、電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車(特定原付)」が新しい乗り物として登場しました。しかし、多くの製品が市場に出回る中で、利用者がその安全性を一つひとつ見極めるのは非常に困難です。
そんな不安を解消するために国が設けたのが、性能等確認制度という仕組みです。この制度に合格した証として貼られる「性能等確認済シール」は、あなたが安全な特定原付を選ぶ上で最も重要な目印となります。
この記事では、特定原付の性能等確認制度について、その目的からシールの意味、購入前に必ず知っておくべき注意点まで、誰にでも分かるように徹底解説します。最後まで読めば、安全な特定原付選びの知識が身につき、安心して新しいモビリティライフを始められるようになります。
※この記事には広告が含まれています。
目次
この記事の要点まとめ
- 性能等確認制度は、特定原付が国の定める保安基準(安全基準)を満たしているかを確認する仕組み。
- 「性能等確認済シール」は、その試験に合格した証であり、安全な製品を選ぶための重要な目印。
- 制度への申請は事業者の任意。シールがないからといって直ちに違法・危険とは限らないが、安全性は慎重に確認する必要がある。
- 国土交通省の公式サイトで、性能等確認を受けた特定原付のリストを確認できる。
特定原付の安全を守る「性能等確認制度」の基本
性能等確認制度とは?国の安全基準をクリアした証
性能等確認制度とは、特定原付が国土交通省の定める保安基準(安全に公道を走るための技術的な基準)に適合しているかどうかを、国が認定した民間の試験機関が確認する制度です。
具体的には、ブレーキの性能、ライトの明るさ、最高速度表示灯の機能など、多岐にわたる項目が厳しくチェックされます。この制度があるおかげで、利用者は複雑な保安基準を自分で調べることなく、安全な製品を簡単に見分けることができるのです。
いわば、食品における「特定保健用食品(トクホ)」マークのように、国が「この製品は安全基準を満たしていますよ」とお墨付きを与えてくれる仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。
「性能等確認済シール」は信頼の証!デザインと貼付場所
性能等確認制度の試験に合格した特定原付には、「性能等確認済シール」が貼付されます。このシールこそ、消費者が安全な製品を一目で識別するための最も重要な目印です。

シールには、確認を行った機関の名称や登録番号が記載されており、偽造を防ぐための工夫がなされています。購入時には、車体の見やすい場所にこのシールがしっかりと貼られているかを確認しましょう。もしオンラインで購入する場合は、製品ページにシールの画像や、性能等確認済みである旨が明記されているかを必ずチェックしてください。
引用元: 国土交通省
混同しやすい「型式認定」との違いは?
「性能等確認」と似た言葉に「型式認定」があります。これもまた国の制度ですが、少し意味合いが異なります。
- 性能等確認: 主に安全性に関する保安基準を満たしているかを確認する制度。
- 型式認定: 同じ構造の製品を大量生産する際に、品質の均一性を国が認める制度。
一般的に、大手メーカーが大量に生産するモデルは「型式認定」を取得し、中小メーカーや輸入製品などは一台ごとに「性能等確認」を受けるというイメージです。消費者にとっては、どちらの制度であっても「国の基準をクリアしている」という点では同じです。重要なのは、その証である「性能等確認済シール」や、後述する国交省のリストで確認できるかどうかです。
購入前に絶対確認!性能等確認制度の3つの注意点
【重要】性能等確認は「任意」の制度
最も注意すべき点は、この性能等確認制度が事業者の「任意」申請であるということです。つまり、メーカーや販売業者が申請しなければ、試験は行われません。そのため、市場には性能等確認を受けていない(シールが貼られていない)特定原付も流通しています。
シールが貼られていないからといって、その製品が直ちに公道を走れないわけではありません。しかし、それは「国の第三者機関による安全性のチェックを受けていない」ということを意味します。安全性や信頼性を最優先するならば、性能等確認済みのシールが貼られた製品を選ぶことが最も賢明な選択と言えるでしょう。
シールなしの特定原付は危険?購入時のチェックポイント
では、性能等確認済シールがない特定原付はすべて危険なのでしょうか?一概にそうとは言えません。海外で実績のあるメーカーや、独自の厳しい品質管理を行っている企業など、制度に申請していなくても安全な製品は存在します。
しかし、その安全性を消費者自身が見極める必要があります。もしシールがない製品を検討する場合は、最低でも以下の点を確認しましょう。
- 保安基準への適合: 最高速度表示灯やウインカーなど、特定原付に必要な保安部品がすべて装備されているか、販売サイトや説明書で確認する。
- メーカー・販売店の信頼性: 実績のあるメーカーか、正規代理店か、購入後のサポート体制は整っているかなどを確認する。
- レビューや口コミ: 実際に使用しているユーザーの評価を参考に、品質や耐久性に問題がないかを確認する。
これらの確認が難しいと感じる方や、少しでも不安がある方は、迷わず性能等確認済シールが貼られた製品を選ぶことを強くおすすめします。
認定済み車両か確認する方法【国交省リスト】
「この製品、本当に性能等確認を受けているのかな?」と疑問に思った場合や、シールの偽造が心配な場合は、国土交通省が公開している公式リストで確認することができます。
このリストには、性能等確認制度に合格した、あるいは型式認定を受けた特定原付のメーカー名と型式がすべて掲載されています。購入を検討している製品がリストに載っているか、事前に確認しておくとより安心です。
リストは定期的に更新されるため、最新の情報をチェックするようにしましょう。
特定原付の性能等確認制度に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 性能等確認済シールは後から貼れますか?
A. いいえ、後から貼ることはできません。
性能等確認済シールは、製造・販売段階で、試験に合格した車両にのみ貼付が許可されています。個人で購入して貼ることはできず、そのような行為は不正と見なされる可能性があります。必ず購入時にシールが貼付されている製品を選んでください。
Q2. どんな項目が試験されるのですか?
A. 安全に関わる様々な項目が試験されます。
主な試験項目には、ブレーキ性能、最高速度表示灯やウインカーなどの灯火装置、警音器の音量、車体の強度、バッテリーの安全性などが含まれます。詳細は国土交通省が定める保安基準で細かく規定されています。

引用元: 国土交通省
Q3. どこで試験を行っているのですか?
A. 国が認定した民間の試験機関です。
国土交通省の審査を経て登録された「登録性能等確認実施機関」が、公平中立な立場で試験を実施します。代表的な機関として、公益財団法人日本自動車輸送技術協会(JATA)があります。
まとめ:特定原付選びは「性能等確認済シール」を目印に!
今回は、特定原付の「性能等確認制度」と「性能等確認済シール」について詳しく解説しました。
- 性能等確認制度は、特定原付の安全性を国のお墨付きで保証する重要な仕組みです。
- 「性能等確認済シール」は、その試験に合格した証であり、消費者が安全な製品を選ぶための最も分かりやすい目印です。
- 制度への申請は任意であるため、シールがない製品を選ぶ際は、保安基準への適合やメーカーの信頼性を自身で慎重に確認する必要があります。
- 購入前には、国土交通省の公式リストで認定車両かどうかを確認すると、さらに安心です。
特定原付は、私たちの移動をより便利で自由にしてくれる素晴らしい乗り物です。しかし、その手軽さの裏には、安全への配慮が不可欠です。この記事で得た知識を活かし、「性能等確認済シール」を目印に、信頼できる一台を選んでください。正しい知識を持つことが、安全で楽しい特定原付ライフへの第一歩です。
特定小型原動機付自転車についての外部リンク
特定小型原動機付自転車について
- 特定小型原動機付自転車について(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車について(経済産業省)
- 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車ってなに?(PDF)(国土交通省)
- ルールを守って電動キックボードに乗ろう(PDF)(国土交通省)
- 電動キックボード等の概要説明リーフレット(PDF)(警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通ルールについて
- 電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう!(政府広報オンライン)
- 電動キックボード等に法改正 乗るならルールを知ってから!(政府広報オンライン)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警視庁)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)


