
電動キックボードの購入を検討する際、多くの人が抱くのが「一体、どのくらいのスピードが出るんだろう?」という疑問です。時速20km/hと聞いても、それが速いのか遅いのか、自分の使い方に合っているのか、なかなかわかりにくいですよね。
さらに、「時速30km以上出るパワフルなモデルが欲しい!」と思う方もいるかもしれませんが、そこには法律の大きな壁が存在します。ルールを知らずに購入すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性も。
この記事では、特定小型原動機付自転車(特定原付)、電動キックボードの「時速」にまつわる全ての疑問に答えます。法律で定められた最高速度のルールから、速度超過のリスク、そしてあなたの使い方に最適なモデル選びまで、徹底的に解説します。
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目次
この記事の要点まとめ
- 特定原付の最高速度は車道で時速20km/h、特例モードで歩道を時速6km/hに制限されている
 - 乗車用ヘルメットの着用は「努力義務」だが、安全のため強く推奨されている。
 - 時速20km/hを超えるモデルは免許・ヘルメットが必須の「一般原付」扱いとなり、手軽さが失われる
 - 時速6km/hの歩道走行モード(特例特定原付)への切り替え機能は、街中での使い勝手を大きく左右する
 - 最高速度だけでなく、坂道でも速度を維持できるモーター出力(W)も重要な選択基準
 
【結論】手軽さとルールのバランスで選ぶならこの1台!
特定原付の「時速20km/h」という制限の中で、最も快適な移動体験を提供してくれるバランスの取れた一台を選ぶことが重要です。パワフルなモーターと安定した走行性能を両立したモデルなら、法規制内でも満足のいく速度感を味わえます。
特定原付の「時速」ルールを徹底解説
- 結論:最高速度は20km/h。ただし条件付きで「歩道」も走れる
 - なぜ最高時速が20km/hに定められているのか?
 - 「特例」特定原付とは?時速6km/hモードの重要性
 - 自分の電動キックボードの速度を確認する方法
 
結論:最高速度は20km/h。ただし条件付きで「歩道」も走れる
2023年7月1日の道路交通法改正により、新たに「特定小型原動機付自転車(特定原付)」という車両区分が設けられました。この特定原付に分類される電動キックボードの最高速度は、時速20km/hに厳密に制限されています。これは、車道や自転車専用通行帯を走行する場合の速度です。
さらに、特定原付の中でも特定の条件を満たす「特例特定小型原動機付自転車(特例特定原付)」は、時速6km/h以下に速度を制御することで、例外的に一部の歩道を走行することが認められています。つまり、特定原付の速度は以下の2段階に分かれていると理解してください。
- 車道モード:最高時速 20km/h
 - 歩道モード(特例):最高時速 6km/h
 
なぜ最高時速が20km/hに定められているのか?
時速20km/hという速度は、一般的な自転車の平均速度(時速15km/h前後)より少し速い程度です。この速度設定は、他の交通との速度差を抑え、安全性を確保する目的で定められました。警察庁の資料によると、自転車関連の交通事故データなどを基に、重大事故のリスクが比較的低い速度域として20km/hが適切と判断された経緯があります。
また、免許不要で乗れる手軽な乗り物であるため、誰でも比較的安全に制御できる速度としてこの上限が設けられています。これ以上の速度域になると、運転技術や交通法規への深い理解が求められるため、免許が必要な「一般原付」の扱いとなるのです。
「特例」特定原付とは?時速6km/hモードの重要性
特定原付の大きな特徴が、時速6km/hの「歩道モード」です。これは、最高速度表示灯(緑色のランプ)を点滅させ、車体の速度を6km/h以下に制御することで、道路標識や道路標示により通行が認められている歩道を走行できるというものです。これには主に「普通自転車歩道通行可」の標識・標示がある歩道が含まれます。
この機能の有無は、街中での利便性に直結します。例えば、交通量の多い車道を避けたい場合や、目的地が歩道沿いにある場合に、このモードがあれば安全かつスムーズに移動できます。時速6km/hは早歩き程度の速度なので、歩行者にも威圧感を与えにくく、安全な共存が可能です。モデルを選ぶ際には、この「特例特定原付」の基準を満たしているか、つまり歩道モードへの切り替えが可能かを必ず確認しましょう。
自分の電動キックボードの速度を確認する方法
公道を走行可能な特定原付には、保安基準適合性等が確認されたことを示す「性能等確認済シール」が車体に貼付されています。このシールがあれば、その車両が法的な速度基準(最高速度20km/h)を満たしていることの証明になります。
また、ほとんどのモデルには、ハンドル部分に速度やバッテリー残量を表示するディスプレイが搭載されています。走行中に現在の速度をリアルタイムで確認できるため、意図せず速度を出しすぎてしまう心配はありません。特に、歩道モード(時速6km/h)を使用する際は、ディスプレイで速度を確認しながら、歩行者に配慮した運転を心がけましょう。
【要注意】時速20km/hを超える電動キックボードの罠
「時速30km/h」モデルは免許・ヘルメットが必須の”一般原付”
インターネット通販サイトなどでは、「最高時速30km/h」「パワフルな45km/h走行!」といった謳い文句で電動キックボードが販売されていることがあります。しかし、これらの製品は特定原付ではありません。最高速度が時速20km/hを超える電動モビリティは、法律上「一般原動機付自転車(一般原付)」、つまり50ccバイクと同じ扱いに分類されます。
一般原付として公道を走行するためには、以下の義務が生じます。
- 運転免許証の携帯
 - ヘルメットの着用義務
 - 自賠責保険への加入
 - ナンバープレートの取得・表示
 
「免許不要」という特定原付の手軽さに惹かれている場合、これらのモデルは全く別の乗り物であると認識する必要があります。安易に購入すると、無免許運転などの重大な交通違反に問われる可能性があります。
なお、特定原付として公道を走行する場合、運転免許は不要ですが、乗車用ヘルメットの着用は「努力義務」とされています。事故による被害を軽減するため、ヘルメットの着用が強く推奨されています。
知らないと高額な罰金も!違反となるケース
もし、一般原付扱いの高速モデルを、特定原付と勘違いして免許を持たずに運転した場合、「無免許運転」となり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という非常に重い罰則が科されます。また、ヘルメットを着用しなかった場合は「乗車用ヘルメット着用義務違反」となります。
さらに、特定原付であっても、車道モード(最高速度20km/h)で歩道を走行したり、歩道モード(最高速度6km/h)に切り替えずに走行したりした場合は「通行区分違反」となり、3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。速度ルールは、安全のためだけでなく、自分自身を守るためにも必ず遵守しなければなりません。
特定原付と一般原付の見分け方
購入を検討している電動キックボードがどちらの区分に該当するのか、簡単に見分けるポイントが2つあります。
- 最高速度表示灯の有無:車体の前後に緑色のランプが備わっていれば、それは特定原付の証です。このランプは、現在の走行モードを周囲に示す重要な保安部品です。特例特定原付(歩道走行モード:6km/h以下)では点滅しますが、車道走行モード(20km/hモード)では原則として消灯している状態となります。一部の説明で「点灯」とされている場合もありますが、法令上の要件は「消灯」です。一般原付扱いのモデルにはこの灯火がありません。
 - ナンバープレートのサイズ:特定原付のナンバープレートは、縦横10cmの正方形に近いコンパクトなサイズです。一方、一般原付(50ccバイク)のナンバープレートは、それよりも大きい長方形です。
 
これらの違いを知っておけば、誤って一般原付モデルを購入してしまうリスクを避けられます。詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
坂道でも速度が落ちにくい!おすすめ特定原付モデルはこれ
特定原付の最高速度は法律で時速20km/hと定められていますが、モーターのパワーが弱いモデルでは、その最高速度を維持できず、特に坂道で大きく減速してしまいます。
ここでは、定格出力500W・最大出力1100Wという特定原付の規定内で最強クラスのパワーを持ち、坂道でも速度を維持しやすい「EVEREST XING EX-15CITY」の1機種のみを徹底解説します。
【坂道最強クラス】定格出力500W&最大出力1100Wでパワフル走行:EVEREST XING EX-15CITY
EVEREST XING EX-15CITYは、特定原付のなかでも珍しい自転車タイプ(電動サイクル)のモデルです。定格出力500W、最大出力1100Wの超強力なモーターを搭載しており、特定原付の基準内で最大級のパワーを誇ります。これにより、平坦な道での時速20km/hの維持はもちろん、勾配26.6度(約50%)までの坂道でも速度が落ちにくい設計となっています。
また、航続距離も60kmと長く、バッテリー着脱式で自宅での充電も可能。さらに、前後にカゴを装着できるなど、日常の買い物や通勤・通学での実用性を極限まで高めたモデルです。特定原付の「手軽さ」と「自転車の実用性」を両立させたい、そして何より「坂道でもパワフルに走りたい」という方に最適な一台です。
- こんな人におすすめ
 - 自宅周辺に急な坂道が多い人
 - 荷物が多く、カゴ付きの自転車タイプを探している人
 - バッテリーを取り外して部屋で充電したい人
 
特定原付の速度に関するよくある質問(FAQ)
Q. 時速20km/hって、自転車と比べて速い?遅い?
A. 一般的なシティサイクルの平均速度が時速15km/h前後、少し頑張って漕いで20km/h程度です。ロードバイクの巡航速度は時速25〜30km/h。つまり、特定原付の時速20km/hは「ママチャリより速く、ロードバイクよりは遅い」という速度感です。しかし、電動アシストなので漕ぐ力は不要。信号待ちからのスタートや坂道でも楽に速度を維持できるため、平均移動速度はシティサイクルよりもかなり速くなります。
Q. 坂道だと速度は落ちますか?
A. はい、坂道の勾配によっては速度が落ちます。速度の維持能力は、モーターの定格出力(W数)に大きく左右されます。定格出力が250Wのモデルよりも、500Wのモデルの方が坂道での速度低下が少なく、パワフルに登ることができます。お住まいの地域に坂道が多い場合は、定格出力500W以上のモデルを選ぶことを強くおすすめします。
坂道に強いモデルの詳細は、こちらの記事で徹底解説しています。
Q. LUUPの電動キックボードの速度は?
A. シェアサービスのLUUP(ループ)で提供されている電動キックボードも特定原付ですので、最高速度は時速20km/hに設定されています。LUUPでは、法改正に伴い、特定原付の基準に適合した最高速度20km/hの新型車両への置き換えを順次実施しており、現在提供されている電動キックボードは、原則として特定原付の最高速度20km/hに設定されています。
Q. 普通の(電動じゃない)キックボードの時速は?
A. 自分の足で蹴って進むタイプのキックボードは、法律上「スケートボード等」と同様の扱いとなり、交通の頻繁な道路での使用は禁止されています。公園や私有地など、安全な場所で利用する場合の速度は、平地で時速10km/h前後、下り坂では20km/h以上出ることもありますが、ブレーキ性能が低いため非常に危険です。公道での移動手段としては使用できません。
まとめ:自分のスタイルに合った「時速」の特定原付を選ぼう
電動キックボードの「時速」は、法律によって明確なルールが定められています。免許不要の手軽さを享受するためには、最高速度が時速20km/hに制限された「特定原付」を選ぶことが絶対条件です。
- 基本ルール: 車道は最高時速20km/h、特例モードで歩道は最高時速6km/h。
 - 安全装備: 乗車用ヘルメットの着用は「努力義務」だが、安全のため強く推奨されている。
 - モデル選び: 時速20km/hを超えるモデルは免許必須の「一般原付」。間違えないように注意。
 - 重要な機能: 時速6km/hモードの有無と、坂道でも速度を維持できるモーター出力(W数)を確認する。
 
時速20km/hという速度は、街を駆け抜けるには十分なスピードです。この記事で紹介したポイントやおすすめモデルを参考に、あなたのライフスタイルを加速させる最高の一台を見つけてください。
特定小型原動機付自転車についての外部リンク
特定小型原動機付自転車について
- 特定小型原動機付自転車について(国土交通省)
 - 特定小型原動機付自転車について(経済産業省)
 - 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう(国土交通省)
 - 特定小型原動機付自転車ってなに?(PDF)(国土交通省)
 - ルールを守って電動キックボードに乗ろう(PDF)(国土交通省)
 - 電動キックボード等の概要説明リーフレット(PDF)(警視庁)
 
特定小型原動機付自転車の交通ルールについて
- 電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう!(政府広報オンライン)
 - 電動キックボード等に法改正 乗るならルールを知ってから!(政府広報オンライン)
 - 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警視庁)
 - 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)
 




