電動キックボードのカスタムは違法?リミッターカットのリスクと合法で速くする唯一の方法

電動キックボードのカスタム

「自分の電動キックボード、もう少しスピードが出たら最高なのに…」「リミッターカットって簡単にできるの?」

特定小型原動機付自転車(特定原付)を手軽な移動手段として手に入れた後、多くの人が抱くのが「もっと速く、もっとパワフルにしたい」というカスタムへの欲求です。自分だけの一台に仕上げる楽しみは、大きな魅力の一つと言えるでしょう。

しかし、「電動キックボード カスタム」と検索すると、「リミッターカット」や「出力アップ」といった、法に触れるだけでなく、重大な危険を伴う情報が溢れています。手軽な乗り物だからこそ、性能に関わる改造のルールは非常に厳格です。その一線を安易に越えてしまうと、厳しい罰則はもちろん、取り返しのつかない事故を引き起こす可能性があります。

この記事では、特定原付の法律や保安基準に精通した専門家として、なぜリミッターカットが絶対NGなのか、その深刻なリスクを徹底的に解説します。そして、あなたの「もっと速く、快適に走りたい」という願いを、安全かつ合法的に叶えるための唯一の解決策を提示します。

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目次

この記事の要点まとめ

  • 最高速度やモーター出力を変更する「リミッターカット」や「出力アップ」は明確な違法改造であり、絶対に行ってはいけません。
  • 違法改造は、事故、保険適用外、重い罰則、保証失効など、5つの深刻なリスクを伴います。
  • 合法的なカスタムは、保安基準に影響しない「アクセサリー装着」が基本です。
  • 坂道などでのパワー不足を解決する唯一の方法は、違法改造ではなく、パワフルな高出力(500W以上)の特定原付に乗り換えることです。

カスタムの前に知るべき特定原付の「保安基準」

特定原付のカスタムで最も重要なのは、「道路運送車両の保安基準」です。これは、公道を走るすべての車両が満たすべき安全基準。この基準から逸脱する改造は、すべて違法となります。

特定原付が満たすべき主な保安基準

  • 最高速度: 車道モードで20km/h、歩道モードで6km/hを超えないこと。
  • モーターの定格出力: 0.6kW(600W)以下であること。
  • 車体の大きさ: 長さ190cm以下、幅60cm以下であること。
  • 灯火類: 前照灯、尾灯、制動灯、警音器、そして最高速度表示灯が正しく機能すること。

これらの基準は、安全を守るための絶対的なルールです。特に、性能等確認制度によって認定された車体は、この基準を満たしていることの証明です。安易な改造は、その認定の信頼性を根底から覆す行為だと認識しましょう。
性能等確認制度について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

電動キックボードのリミッターカットは明確な違法改造です

まず結論から。電動キックボードの性能、特に最高速度やモーター出力に手心を加えることは、例外なく「違法改造」にあたります。その理由と、安易な改造がもたらす深刻なリスクについて、詳しく見ていきましょう。

なぜリミッターカットや出力アップは絶対にNGなのか?

「もう少しだけ速くしたい」という軽い気持ちが、取り返しのつかない事態を招きます。「リミッターカット」や「モーター交換による出力アップ」が違法とされる理由は、道路運送車両法で定められた「特定原付」の定義から逸脱してしまうためです。

特定原付は、以下の厳格な保安基準を満たすことで、16歳以上であれば免許不要という手軽さが認められています。

  • 最高速度: 20km/hを超えないこと
  • 定格出力: 0.6kW(600W)以下であること
  • 車体の大きさ: 長さ190cm以下、幅60cm以下であること

リミッターカット等で最高速度が20km/hを超えたり、定格出力が0.6kWを超えたりした瞬間、その車両はもはや「特定原付」ではありません。「一般原付(原付一種)」やそれ以上の車両区分に変わってしまうのです。

そうなると、原付免許の携帯やヘルメットの着用義務が発生します。これらを守らずに乗れば、無免許運転や乗車用ヘルメット着用義務違反といった重大な交通違反に問われます。

違法改造がもたらす5つの深刻なリスク

法的な問題以上に、あなた自身の人生を脅かす5つのリスクが存在します。

  1. 重大な事故のリスク
    特定原付のブレーキ性能やフレーム強度は、20km/h以下で安全に停止できるよう設計されています。速度を無理に上げれば、ブレーキが効かず追突したり、カーブを曲がりきれず転倒したりと、命に関わる事故の可能性が飛躍的に高まります。
  2. 保険が適用されないリスク
    万が一、違法改造車で事故を起こした場合、自賠責保険や任意保険はまず適用されません。契約は「合法な特定原付」に対して結ばれており、改造は契約違反にあたるからです。数千万円、場合によっては億単位の損害賠償を全額自己負担する可能性があります。
  3. 厳しい罰則のリスク
    保安基準に適合しない車両での公道走行は「整備不良」となり、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。さらに無免許運転と判断されれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という、さらに重い罰が待っています。
  4. メーカー保証がなくなるリスク
    当然ながら、モーターや制御システムに手心を加えた時点で、メーカーの保証は一切受けられなくなります。故障しても全て自己責任での修理となり、高額な費用がかかる可能性があります。
  5. 車両の価値がゼロになるリスク
    違法改造された車両は、保安基準不適合車となり、公道を走る資格を失います。つまり、資産価値はゼロになります。売却することもできず、ただの粗大ゴミと化してしまうのです。

軽い気持ちのカスタムが、あなたの未来を台無しにする可能性があることを、絶対に忘れないでください。

【合法】保安基準を守って楽しむ!おすすめドレスアップ&便利カスタムパーツ7選

性能に関わる改造は絶対NGですが、もちろん全てのカスタムが禁止されているわけではありません。保安基準に影響を与えない範囲で、利便性やデザイン性を高める「ドレスアップ」や「アクセサリー装着」は、特定原付の大きな楽しみの一つです。ここでは、誰でも安心して始められる合法カスタムパーツを7つ厳選してご紹介します。

1. スマホホルダー

ナビアプリの使用に必須のアイテムです。走行中の「ながら運転」は交通違反。安全のためにも必ず設置しましょう。ポイントは、振動でスマホが落下しないホールド力の高いモデルを選ぶこと。さらに、スマホのカメラは振動に非常に弱いため、衝撃吸収機能(振動吸収ダンパー)付きの製品を選ぶと、高価なスマホを故障から守ることができ安心です。

2. ドリンクホルダー

特に夏場、信号待ちで手軽に水分補給ができると熱中症対策になり、快適性が格段に向上します。ペットボトルや水筒のサイズに合わせて調整できるタイプが便利。ハンドル周りのスペースは限られているため、他のアクセサリーと干渉しないか確認しながら取り付けましょう。

3. バッグ・ポーチ

収納スペースが皆無の特定原付にとって、バッグは実用性を高める重要パーツ。ハンドルに取り付けるフロントバッグなら、財布や鍵などの小物をスマートに収納でき、運転に集中できます。防水仕様を選べば、急な雨でも安心です。

4. ステッカー・デカール

最も手軽に個性を発揮できるカスタムです。好きなブランドのロゴやデザインステッカーを貼るだけで、自分だけのオリジナルマシンに。ただし、ライト類、最高速度表示灯、ナンバープレートなど、保安上重要な部分には絶対に貼らないでください。視認性を妨げると整備不良とみなされる可能性があります。

5. ハンドルグリップ

純正グリップが硬くて手が疲れる場合に効果的な、満足度の高いカスタムです。人間工学に基づいたデザインのグリップに交換すれば、長時間の運転でも手の負担を軽減できます。カラーバリエーションも豊富なので、車体色とコーディネートするのも楽しいでしょう。

6. LEDライト(装飾用)

夜間の個性を演出し、非視認性(他者からの見えやすさ)を向上させる装飾用LEDライト。ただし、ルールが厳格なので注意が必要です。点滅するものはNGで、色は白、黄色、橙色などに限定されます。特に、車体の前方に赤色、後方に白色のライトは取り付けが禁止されているため、これを破ると保安基準違反となります。あくまで「その他灯火類」として、明るすぎないもの(300カンデラ以下)を選びましょう。

参考: 道路運送車両の保安基準|国土交通省

7. 泥除け(フェンダー)

雨上がりの濡れた路面を走った際の泥水の跳ね上がりを防ぐ、非常に実用的なカスタムです。服の汚れを気にせず、天候が不安定な日でも気軽に出かけられるようになります。デザイン性を重視して泥除けが短いモデルや、付いていないモデルに乗っている方には特におすすめです。

パワー不足の不満を合法的に解決する唯一の方法

「ドレスアップは分かった。でも、本当に解決したいのは坂道でのパワー不足なんだ…」

その不満こそが、違法改造に手を染めてしまう最大の動機でしょう。しかし、ここまで読んだあなたなら、それが最悪の選択だと理解しているはずです。

では、どうすればいいのか?答えは一つしかありません。

結論:高出力(500W以上)の特定原付へ乗り換える

特定原付のモーター出力は0.6kW(600W)以下と定められていますが、安価なモデルはコスト削減のため250Wや350Wに抑えられています。一方、パワフルなモデルは上限に近い500Wや600Wのモーターを搭載しており、坂道を登る能力が全く違います。

あなたのパワーに対する不満は、違法な改造ではなく、最初からパワフルで合法なモデルを選ぶことで、安全かつ完全に解決できるのです。

パワフルな特定原付おすすめ3選【坂道に強い】

YADEA KS6 PROEVEREST XING EX-15PROEVEREST XING EX-15CITY
画像
価格198,000円151,800円198,000円
実売価格209,000151,800198,000
歩道モードありありあり
平均航続距離(km)605060
重量(kg)222321
定格出力(W)500600500
最大出力(W)80010001100
タイプキックボードキックボード自転車
全長(mm)119212001640
全幅(mm)520580595
全高(mm)125812001100
3辺合計(mm)297029803335
折りたたみ全長(mm)11921200
折りたたみ全幅(mm)520580
折りたたみ全高(mm)604520
折りたたみ3辺合計(mm)23162300
最大積載重量(kg)110120100
駆動方式リアハブモーター
バッテリー電圧(V)364848
バッテリー容量(Ah)15.61513.2
バッテリー着脱不可可能
バッテリー平均充電時間(h)586
最高速度車道(km/h)202020
最高速度歩道(km/h)666
登坂角度(度)1525.226.6
走行モード2モード設定可能(6 km/h, 20 km/h)2モード設定可能(6 km/h, 20 km/h)車道モード、歩道モード
フレーム素材アルミニウム合金アルミニウム合金
カラーグレー、ブルー、イエロースレートブラック、エベレストホワイトウィンドブルー、スレートブラック、ピークシルバー
タイヤサイズ(inch)101020
タイヤ種類耐パンク加工エアタイヤノーパンクタイヤ
ブレーキ前輪ドラムブレーキドラムブレーキドラム
ブレーキ後輪ディスク+電動ブレーキディスク+電動ブレーキドラム
サスペンション前輪フロントサスペンションあり
サスペンション後輪なしあり
防水防塵等級IPX4IPX5IPX6
折りたたみ機構ありありなし
サドル(椅子)オプションオプションあり
カゴオプションあり
バックミラーなしなしなし
防犯装備電子ロック機能、アラーム機能ありdigital lock, password
アプリ連携Bluetooth コントロール アプリあり
保証期間バッテリー、モーター:購入後6か月 フレーム系:購入後1年 その他:初期不良期間8日1年1年
付属品充電器一式:ACアダプター×1/ACコード×1/組み立て用部品・簡易工具一式:六角レンチ(4mm)×1/ネジ(M4×14mm)×6/取扱説明書充電器一式:ACアダプター×1/ACコード×1/組み立て用部品・簡易工具×1/取扱説明書×1充電器一式・簡易工具・取扱説明書
確認番号000701060150
メーカーYADEAEVEREST XING株式会社 Acalie
型式KS6PRO-JPEX-15PROEX-15CITY
公式サイトなどhttps://yadea.jp/lineup/301/
https://e-819.jp/products/yadea-ks6-pro
https://everestxing.jp/ex15pro.htmlhttps://everestxing.jp/city.html
購入先楽天市場で見るYahoo!ショッピングで見るメルカリで見る楽天市場で見るYahoo!ショッピングで見る公式ショップで見るメルカリで見る楽天市場で見るYahoo!ショッピングで見る公式ショップで見るメルカリで見る

YADEA KS6 PRO

YADEA KS6 PROは、定格出力500W、最大出力800Wという非常にパワフルなモーターが魅力です。通勤ルートにあるような急な坂道でも速度を落とすことなく、グイグイと登っていくことを可能にします。また、10インチの耐パンク加工エアタイヤとフロントサスペンションの組み合わせにより、路面からの衝撃を効果的に吸収。多少の段差もスムーズに乗り越え、安定した快適な乗り心地を提供します。航続距離も60kmと長く、頻繁な充電の手間が少ないのも嬉しいポイント。パワーと乗り心地、航続距離の全てを高次元でバランスさせた、まさにプレミアムな一台です。

  • こんな人におすすめ
  • 坂道でもストレスなく通勤したい
  • 乗り心地と安定性を重視する
  • 充電の頻度を減らしたい

EVEREST XING EX-15PRO

定格出力600W、最大出力1000Wという特定原付のトップクラスのパワーを誇ります。登坂角度は驚異の25.2度。他のモデルではためらうような激坂も、力強く駆け上がります。前後デュアルサスペンションと10インチのノーパンクタイヤを搭載し、パワフルなだけでなく、乗り心地も抜群。街中のあらゆる道をタフに、そして快適に走破したいユーザーにとって、まさに「PRO」の名にふさわしい一台です。

  • こんな人におすすめ
  • とにかくパワーを最優先したい
  • 激しい坂道やタフな路面を走る機会が多い
  • 最高のスペックを求める

EVEREST XING EX-15CITY

安定感抜群の自転車タイプの特定原付です。定格出力500W、最大1100Wのパワフルなモーターと、快適な乗り心地を提供する大径20インチタイヤが特徴。航続距離も60kmと長く、毎日の通勤・通学から休日のちょっとした遠出まで、幅広いシーンで活躍します。キックボードの立ち乗りスタイルに不安がある方や、より安定した走りを求める方に最適なモデルです。

  • こんな人におすすめ
  • 立ち乗りよりも座って安定して乗りたい
  • 自転車のような感覚でパワフルな走りを体験したい
  • 長距離の移動も快適に行いたい

特定原付のカスタムに関するよくある質問(FAQ)

Q. 塗装(カラーリング)は自分でできますか?

A. はい、可能です。ただし、灯火類(ライトやウインカー)のレンズ部分や、ナンバープレート、最高速度表示灯を塗りつぶしてしまうと保安基準違反になります。また、フレームを分解して塗装するなど、専門知識が必要な作業はメーカー保証の対象外となる可能性が高いです。手軽に色を変えたい場合は、塗装よりも剥がすのが簡単なラッピングシートの利用をおすすめします。

Q. サドル(椅子)を後付けしても合法ですか?

A. ケースバイケースで注意が必要です。元々サドルがオプションとして用意されているモデルに、純正品や適合品を取り付けるのは問題ありません。しかし、サドルの装着が想定されていないモデルに無理やり取り付けると、車体のバランスが崩れて危険な場合があります。安全のため、メーカーが公式に許可しているモデル以外でのサドルの後付けは避けた方が賢明です。

Q. タイヤを太くして安定性を上げることはできますか?

A. タイヤのサイズ(インチや幅)の変更は、原則として推奨できません。メーカー指定外のサイズに変更すると、フェンダーやフレームに干渉したり、スピードメーターに誤差が生じたりする可能性があります。特にスピードメーターの誤差は、知らないうちに速度超過を引き起こす原因にもなり危険です。乗り心地を改善したい場合は、同じサイズのままで、より品質の高いタイヤに交換することを検討しましょう。

Q. カスタムするとメーカー保証はなくなりますか?

A. メーカーやカスタムの内容によります。スマホホルダーの取り付けやステッカー程度で保証が無効になることはありません。しかし、電気系統に手を加えたり、フレームに穴を開けたり、純正部品を社外品に交換した場合、そのカスタムが原因で故障が発生したと判断されると、保証の対象外となることがほとんどです。カスタムを行う前に、保証規定をよく確認し、自己責任で行うようにしましょう。

まとめ:ルールを守って、賢く安全にカスタムを楽しもう

電動キックボード(特定原付)のカスタムについて、違法改造のリスクと合法的な楽しみ方を解説しました。

  • 違法改造の絶対禁止: リミッターカットや出力アップは、保安基準不適合車となり、重大な事故や厳しい罰則を招くため、絶対に手を出さないでください。
  • 合法カスタムで個性を出す: 保安基準に影響しないアクセサリー(スマホホルダー、バッグ等)で、自分だけの一台を安全に作り上げましょう。
  • パワー不足の唯一の解決策: 改造ではなく、パワフルな500W以上の高出力モデルへ乗り換えることが、最も安全で確実、かつ賢い選択です。

特定原付は、ルールを守れば非常に便利で楽しい乗り物です。目先の誘惑に負けず、法律の範囲内で賢くカスタムを楽しみ、あなたの移動をさらに豊かにしてください。

特定小型原動機付自転車についての外部リンク

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