
「自転車道や自転車専用レーンを走っている原付バイクを見かけたけど、あれは違反じゃないの?」
「電動キックボード(特定原付)は自転車みたいに走っていいの?」
「原付」という言葉は、50cc以下のバイク(一般原付)と、新しく登場した電動キックボードなどの特定原付(特定小型原動機付自転車)の両方を指すため、通行ルールに関して混乱している方が非常に多いです。
この記事では、一般原付(50ccバイク)と特定原付(電動キックボードなど)の2種類に分けて、それぞれの警察庁の公式情報に基づき、「自転車道」や「自転車専用通行帯(自転車レーン)」の通行ルールを徹底的に比較解説します。
この記事を読めば、あなたが乗っている「原付」がどこを走るべきか、そして何が違反になるのかが明確に分かります。交通ルールを正しく理解し、安全で快適なモビリティライフを送りましょう。
※この記事には広告が含まれています。
- 一般原付(50ccバイク):自転車道・自転車専用レーンは原則通行禁止(違反)
- 特定原付(電動キックボードなど):自転車道・自転車専用通行帯は通行可能
- 通行の基本:一般原付、特定原付ともに、大原則は車道の左側端を通行すること
- 特定原付の歩道走行:「特例特定原付」モード(6km/h以下)で、特定の標識がある場合のみ可能
目次
【結論】一般原付(50ccバイク)と特定原付の自転車道通行ルール比較
まず、最も重要な結論を表でまとめます。あなたの乗っている「原付」の種類によって、通行ルールは全く異なります。
| 車両区分 | 一般的な名称 | 自転車道・自転車専用レーンの通行 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 一般原動機付自転車 | 50cc以下の原付バイク | ✕ 通行禁止 | 軽車両ではないため |
| 特定小型原動機付自転車 | 電動キックボードなど | ◎ 通行可能 | 道路交通法で定められた新ルール |
ユーザーが「原付」という言葉でイメージする従来の50ccバイクは、自転車道を通行できません。一方、2023年7月に新設された特定原付は、例外的に通行が許可されています。この違いをしっかりと理解することが、交通違反を防ぐ第一歩です。
【NG】一般原付(50ccバイク)が自転車道・自転車専用レーンを走れない理由
自転車道は「軽車両」のみ通行可
一般原付(50cc以下のバイク)が自転車道や自転車専用通行帯(自転車レーン)を走行できない最大の理由は、道路交通法上の車両区分にあります。自転車道は、その名の通り「自転車」のための道であり、法律上は「普通自転車」や「軽車両」の通行がメインとされています。
一般原付(50ccバイク)は、道路交通法上「原動機付自転車」という「自動車」の一種として扱われます。「原動機付自転車」という名称に「自転車」とついていますが、法律上の分類は自動車と同じく「車両」であり、軽車両ではありません。そのため、軽車両の通行が許可されている自転車道や自転車専用通行帯を通行することは、原則として認められていません。自転車専用通行帯は、車両通行帯ではないため、原付は車道の左側端を通行するのが正しいルールです。
自転車専用レーンは、車道の左側端に青い線や自転車マークで示されていますが、これはあくまで「普通自転車が通行すべき場所」であり、原付バイクはここを走行すると「通行帯違反」や「通行区分違反」に問われる可能性があります。特に、渋滞時にこのレーンをすり抜けのために走行するのは、明確な交通違反となりますので絶対にやめましょう。
原付バイクが走行すると交通違反となる場合
一般原付が自転車道や自転車専用レーンを走行した場合、以下のような違反に問われる可能性があります。
- 通行区分違反:指定された通行帯以外の場所を通行した場合。
- 指定通行区分違反:自転車専用通行帯(自転車レーン)を走行した場合。
これらの違反行為は、交通反則通告制度の対象となり、違反点数や反則金が科せられます。原付の運転者は、車道の左側端を走行することが大原則であり、自転車専用レーンは、左折時の巻き込み防止など、やむを得ない場合を除き通行してはいけません。自転車専用レーンは、自動車や原付のドライバーから見ると、つい空いているからと利用したくなる「ワープゾーン」のように見えるかもしれませんが、交通ルール上は明確に禁止されていることを肝に銘じておきましょう。
大鳴門橋などの「自転車歩行者道」は例外?
一部の地域、特に長大な橋梁などでは、一般原付(50ccバイク)の通行が可能な「自転車歩行者道」が設けられている場合があります。代表的な例として、しまなみ海道の一部の橋や、ユーザーの検索意図にもあった大鳴門橋などが挙げられます。
例えば、しまなみ海道の橋梁部には、自転車や歩行者、そして原付(50cc以下)が通行できる専用の道路(自転車歩行者道)が併設されています。これは、これらの橋梁が「自動車専用道路」であるため、一般の原付が本線車道を通行できないことへの特例措置として設けられているものです。通行には料金が必要となる場合もありますが、これはあくまで特定の場所における例外的な措置であり、一般の公道における自転車道や自転車専用レーンのルールとは全く異なります。
したがって、一般的な市街地の「自転車道」や「自転車専用レーン」を一般原付が走行することは依然として違反ですが、大鳴門橋やしまなみ海道などの「自転車歩行者道」は、標識や管理者の指示に従い、原付が走行できる例外的な場所があると覚えておきましょう。
【OK】特定原付は自転車道・自転車専用通行帯を通行できる(例外)
走行は車道の左側端が大原則
特定原付(電動キックボードなど)の通行ルールも、一般原付と同じく、まずは車道の左側端を通行することが大原則です。これは、特定原付が「車両」である以上、守らなければならない基本的なルールです。
車道と歩道又は路側帯の区別があるところでは、車道を通行しなければなりません(自転車道も通行することができます)。
上記の通り、警察庁の資料でも特定原付は「自転車道も通行することができます」と明記されています。この点が、一般原付との決定的な違いであり、特定原付の利便性を高めているポイントの一つです。特定原付は、その最高速度(20km/h)や車体の大きさから、普通自転車に近いルールが適用されることとなり、自転車道も通行可能と定められました。
自転車道等の通行が許可されている理由
特定原付が自転車道を通行できるのは、道路交通法で「特定小型原動機付自転車」という新たな車両区分が設けられ、その通行方法が普通自転車に準ずる部分が多くなったためです。具体的には、特定原付は以下の場所を通行できます。
- 車道:左側端を通行(大原則)
- 自転車道:縁石や柵などで区切られた、自転車専用の道路。
- 自転車専用通行帯(自転車レーン):車道に青い線で示された自転車が通行すべき場所。
これらの場所は、一般原付にとっては原則通行禁止の場所ですが、特定原付にとっては、より安全かつスムーズに走行するための空間として利用が認められています。ただし、自転車道を通行する際も、他の車両や歩行者に注意し、安全運転を心がけることが重要です。特定原付は、自転車道を通行できるとはいえ、自転車とは異なり、こがずに進む車両であるため、自転車の通行を妨げないよう配慮が必要です。
「特例」ではない一般特定原付は歩道が走れない
特定原付のルールを語る上で、「特例特定小型原動機付自転車(特例特定原付)」の存在は欠かせません。この特例特定原付は、時速6kmを超えて加速できない走行モード(6km/hモード)を備え、そのモード中は最高速度表示灯を点滅させる機能を持つ車両を指します。そして、この特例特定原付が6km/hモードで走行している場合に限り、例外的に一部の歩道を通行することが許可されます。
このため、あなたが購入を検討している特定原付が「歩道も走りたい」というニーズを満たすためには、この6km/hモードを搭載した「特例特定原付」の基準を満たすモデルを選ぶ必要があります。 逆に、このモードがない特定原付(一般特定原付)は、自転車道は走れても、原則として歩道や路側帯(例外あり)を走行することはできません。通勤や日常の「ちょい乗り」で、車道が不安な方や、歩道走行の利便性を重視する方は、必ず「特例特定原付」対応モデルを選びましょう。
例えば、おすすめのSun Emperor Easy(確認番号0107)は、歩道走行モード(6km/h)を搭載しており、特例特定原付の基準を満たしています。このようなモデルを選ぶことで、車道が不安な状況でも、安全に歩道(標識がある場合のみ)を利用できるという利点があります。
- こんな人におすすめ
- 歩道走行モードで安全性を確保したい初心者
- 圧倒的な長距離を走りたい人(航続距離80km)
- パワフルな走行性能(定格出力500W)を求める人
特定原付の通行場所に関するその他の重要ルール
歩道・路側帯の通行はここがポイント
特定原付の走行場所で最も複雑で、かつ事故につながりやすいのが歩道や路側帯のルールです。特定原付は、「特例特定原付」(6km/hモード搭載車)であるか否かで、通行の可否が大きく変わります。
- 歩道: 「特例特定原付」が、「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識がある歩道を、時速6km/hモード(表示灯点滅)で走行する場合に限り通行できます。この標識がない歩道は、特例特定原付であっても走行できません。歩行者優先であり、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止が必要です。
- 路側帯: 一般特定原付は原則通行できません。通行できるのは、特例特定原付が、道路の左側に設けられた白線一本で区画された路側帯を、著しく歩行者の通行を妨げない速度で通行する場合に限られます。白線二本(歩行者用路側帯)は、特例特定原付であっても通行禁止です。
このように、歩道や路側帯の通行は非常に限定的であり、通行できるのは「特例特定原付」が「歩行者モード」に切り替えている場合に限られます。特に、歩道を通行する際は、歩行者との接触事故を防ぐためにも、常に徐行し、周囲への注意を怠らないことが求められます。特定原付は「免許不要」という手軽さがある反面、こうした細かく複雑なルールを正しく理解し、責任を持って運転する義務があります。
二段階右折は「原則」必須?自転車と同じルール
特定原付の右折方法も、一般原付(50ccバイク)とは異なります。一般原付は、三車線以上の道路などで「二段階右折」が義務付けられていますが、特定原付は、原則としてすべての交差点で、普通自転車(軽車両)と同じ「二段階右折」の方法で右折しなければなりません。
二段階右折とは、交差点の手前で右折レーンに入らず、交差点を直進して渡り、渡りきった場所で進行方向を変えて待機し、前方の信号が青になってから再び直進して進む方法です。これは、特定原付の最高速度が20km/h以下に制限されているため、自動車や一般原付と同じように小回り右折をすると、後続車との速度差が大きく危険であるという判断に基づいています。
ただし、「軽車両の右折方法」が適用される道路標識がある交差点では、その標識に従う必要があります。しかし、基本的には「すべての交差点で二段階右折」と覚えておけば間違いありません。一般原付のルールと混同し、小回り右折をすると、通行区分違反となる可能性があるため、特に注意が必要です。
【禁止】高速道路と車両進入禁止の場所
特定原付は、一般原付と同じく、以下の場所は絶対に通行できません。これらの場所を走行すると、重大な事故につながる危険性があるだけでなく、非常に厳しい罰則の対象となります。
- 高速自動車国道・自動車専用道路:特定原付は、最高速度が20km/h以下であるため、これら高速で走行する道路への侵入は法律で厳しく禁止されています。
- 道路標識による通行禁止場所:「車両進入禁止」の標識がある場所は、特定原付も通行できません。ただし、「自転車を除く」といった補助標識がある「一方通行」の道路では、特定原付も軽車両に近いルールが適用されるため、双方向に通行することが可能です。
- 歩行者用路側帯:前述の通り、白線が二本引かれた歩行者専用の路側帯は、歩行者の安全確保のため、特例特定原付であっても通行できません。
これらのルールは、特定原付の安全な利用を担保するためのものです。特に高速道路への誤進入は命に関わるため、ナビや標識をよく確認し、絶対に走行しないようにしましょう。
一般原付と特定原付の違いをおさらい
ここまで見てきたように、「原付」という一言でくくるには、一般原付と特定原付のルールはあまりにも違います。ここで改めて、両者の基本的な違いを整理しておきましょう。
一般原付の定義とルール
一般原付とは、総排気量50cc以下(電動機は定格出力0.6kW以下)の二輪車などを指します。いわゆる「原付バイク」がこれに該当します。
- 運転免許:原付免許以上が必要
- ヘルメット:着用義務あり(罰則あり)
- 最高速度:30km/h(法定速度)
- 通行場所:車道のみ(自転車道・歩道は原則不可)
一般原付は、その動力性能から、自転車よりも自動車に近いルールが適用されます。そのため、自転車道は走行できず、歩道も原則として走行できません。また、二段階右折の義務も、三車線以上の道路などに限定されます。これらのルールは、特定原付とは大きく異なるため、乗り換える際は十分な注意が必要です。
特定原付の定義とルール
特定原付とは、電動キックボードなどの電動モビリティのうち、以下の基準をすべて満たすものを指します。
- 車体の大きさ:長さ190cm以下、幅60cm以下
- モーターの定格出力:0.6kW以下
- 最高速度:時速20km以下
- その他:最高速度表示灯(緑色のランプ)を備えているなど
これらの基準を満たした特定原付は、以下のルールが適用されます。
- 運転免許:不要(16歳以上)
- ヘルメット:着用は努力義務(罰則なし)
- 最高速度:20km/h(歩道モードは6km/h)
- 通行場所:車道、自転車道、特例特定原付であれば一部の歩道・路側帯も可能
特定原付は、一般原付よりもはるかに緩やかなルールが適用されており、特に免許不要と一部歩道走行可能という点が、一般原付との大きな違いです。このルール改正により、電動キックボードはより身近なモビリティとなりましたが、その分、ルールを正しく理解し、安全に運転する責任も増しています。
ナンバープレートの色と形の違い
公道を走行する上で、一般原付と特定原付を見分ける最も簡単な方法の一つがナンバープレートです。どちらも市区町村でナンバープレートを取得し、装着する義務があります。
- 一般原付(50cc以下):白地のナンバープレート(一般的な原付バイクのナンバー)
- 特定原付:白色を基調とし、一回り小さく、特定原付であることが分かりやすいデザイン(自治体によりデザインが異なります)
特定原付のナンバープレートは、一般原付とは異なる専用の規格が設けられており、これにより警察官や一般の人が特定原付であることを容易に識別できるようになっています。このナンバープレートの装着と、自賠責保険への加入は、特定原付を公道で運転する上での必須の義務であり、怠ると法律により罰せられます。「免許不要だから」と、これらの義務を軽視してはいけません。
特定原付に関するよくある質問(FAQ)
Q. 自転車専用道路を通行する際、徐行は必要ですか?
A. 特定原付が自転車道を通行する際に、「常に徐行しなければならない」という義務はありません。特定原付の法定最高速度は20km/hであり、自転車道でもこの範囲内で安全な速度で走行できます。ただし、道路交通法上、「徐行」が義務付けられる場所はいくつか存在します。
- 徐行が義務付けられる場所の例:徐行の標識がある場所、見通しの悪い交差点、勾配の急な下り坂、歩道を通行する際など。
徐行とは「すぐに停止できるような速度」を指します。自転車道であっても、自転車や歩行者との接触の危険がある場合や、視界が悪いカーブなどでは、安全のため徐行、または一時停止することが求められます。特に自転車道は自転車が優先であるため、自転車の通行を妨げないよう、常に安全を最優先した運転を心がけましょう。
Q. 特定原付は道路の右側を通行していいですか?
A. いいえ、特定原付は道路の右側(対向車線側)を通行してはいけません。特定原付は車両であるため、道路交通法に基づき「車道の左側端」に寄って通行することが義務付けられています。道路の中央や右側を走行することは「通行区分違反」となり、罰則の対象です。
ただし、一方通行の道路で「自転車を除く」または「軽車両を除く」の補助標識がある場合は、その道路を双方向に通行できるため、道路の左側端に寄って通行することになります。いかなる場合も、右側通行は原則禁止であり、対向車との衝突リスクが高まるため、絶対に避けてください。
Q. ヘルメットは努力義務とのことですが、着用しないと危険ですか?
A. 法律上は「努力義務」であり、着用しなくても罰則はありませんが、安全のためには着用することを強く推奨します。特定原付は最高速度が20km/hとはいえ、転倒や衝突の際には頭部に重大な損傷を負うリスクがあります。自転車に乗る際もヘルメット着用が努力義務化されたように、自分の命を守るための最も重要な装備がヘルメットです。
特定原付のヘルメットは、自転車用や原付用など、安全基準を満たしたものであれば着用可能です。特に、おしゃれで普段使いしやすい「帽子に見えるヘルメット」なども市販されていますので、安全性を確保しつつ、快適なモビリティライフを楽しむためにも、ぜひ着用を検討してください。
まとめ:自転車道は「一般原付NG、特定原付OK」が基本ルール
今回は、「原付」が自転車道を通行できるかという疑問に対し、一般原付(50ccバイク)と特定原付(電動キックボードなど)の2つの車両区分に分けて解説しました。
- 一般原付(50ccバイク):軽車両ではないため、自転車道・自転車専用レーンは通行禁止です。
- 特定原付:道路交通法で通行が許可されており、自転車道・自転車専用通行帯は通行可能です。
- 歩道走行:特定原付の中でも「特例特定原付」のみ、特定の標識がある歩道を6km/hモードで走行できます。
- 二段階右折:特定原付は、原則としてすべての交差点で二段階右折が必要です。
「原付」という一言で同じルールだと誤解してしまうと、一般原付では交通違反、特定原付では思わぬ事故につながりかねません。あなたが乗るモビリティの車両区分を正しく理解し、それぞれのルールを遵守することで、安全で快適な移動を実現しましょう。
これから特定原付の購入を検討される方は、以下の比較ツールで全機種のスペックや「歩道モード」の有無を確認し、ご自身の利用シーンに合った一台を見つけてください。
特定小型原動機付自転車についての外部リンク
特定小型原動機付自転車について
- 特定小型原動機付自転車について(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車について(経済産業省)
- 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車ってなに?(PDF)(国土交通省)
- ルールを守って電動キックボードに乗ろう(PDF)(国土交通省)
- 電動キックボード等の概要説明リーフレット(PDF)(警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通ルールについて
- 電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう!(政府広報オンライン)
- 電動キックボード等に法改正 乗るならルールを知ってから!(政府広報オンライン)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警視庁)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)






