【違反?】特定原付の追い越しルールを徹底解説|禁止場所や追い抜きとの違い

特定原付

特定原付(特定小型原動機付自転車)は、手軽な移動手段として注目されていますが、その交通ルールはまだ十分に浸透していないのが現状です。「前の車がゆっくり走っているけど、追い越していいのかな?」「自転車と同じ感覚で追い越したら違反になる?」といった疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

特に「追い越し」は、事故に直結しやすい危険な行為であり、特定原付においても安全を確保するためのルールが重要です。ルールを知らずに追い越しを行うと、思わぬ交通違反で罰則を受けたり、重大な事故につながったりする可能性があります。

この記事では、特定原付の追い越しに関するルールを、誰にでも分かるように徹底的に解説します。「追い越し」と「追い抜き」の根本的な違いから、法律で定められた追い越し禁止の場所、そして安全な運転方法まで、この記事を読めば、特定原付の追い越しに関する全ての疑問が解決します。

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この記事の要点まとめ

  • 特定原付による車両の「追い越し」は、速度制限や通行位置のルールにより、安全かつ適法に行うことが極めて困難であり、実質的に推奨されません
  • 進路変更を伴う「追い越し」と、伴わない「追い抜き」は道路交通法上、全くの別物です。
  • 追い越し禁止の標識がある場所や、トンネル、交差点など、道路交通法第30条で定められた場所では、すべての車両で追い越しは違反になります。
  • 安全のため、追い越しはせず、車間距離を十分に保って走行することが最も重要です。

【結論】特定原付の追い越しは実質的に困難・非推奨!

基本のキ!「追い越し」と「追い抜き」の決定的な違い

追い越しルールを理解する上で最も重要なのが、「追い越し」と「追い抜き」の違いです。この二つは似ているようで、道路交通法上では全く異なる行為と定義されています。

  • 追い越し:車が進路を変更し、進行中の前の車の前方に出ること。
  • 追い抜き:車が進路を変更しないで、進行中の前の車の前方に出ること。

ポイントは「進路変更(車線変更)をしたかどうか」です。例えば、片側一車線の道路で対向車線にはみ出して前の車を抜くのは「追い越し」です。一方、片側二車線の道路で、右側の車線を走っていて、そのまま左側の車線の車より前に出た場合は「追い抜き」となります。

特定原付は、2023年7月1日施行の改正道路交通法により、従来の一般原動機付自転車とは異なる独自の交通ルールが適用される新たな車両区分として創設されました。道路交通法には、特定原付が軽車両を除く他の車両の追い越しを一律で原則禁止する特定の条文は存在しません道路交通法 第三十条の二という条文も存在しません)。しかし、特定原付は、最高速度が20km/hに制限されており、原則として道路の左側端に寄って通行しなければならない(道路交通法第18条第1項)というルールがあります。このため、安全かつ適法に「追い越し」(進路変更を伴う)を行うことは極めて困難であり、実質的に推奨されません追い越しが禁止されるのは、すべての車両に共通する道路交通法第30条に規定される「追越しを禁止する場所」や標識がある場所などです

なぜ?特定原付の追い越しが厳しく制限される理由

なぜ、特定原付の追い越しはこれほど厳しく制限されているのでしょうか。主な理由は、その車両特性と安全性の確保にあります。

  • 速度と安定性の限界:特定原付の最高速度は時速20kmに制限されています。自動車のように瞬時に加速して安全に追い越しを完了させることが難しく、追い越し中に予期せぬ危険に陥る可能性が高まります。
  • 原則左側端通行:特定原付は原則として道路の左側端に寄って通行する義務があるため、前の車を追い越すには、対向車線にはみ出さずに進路変更を完了させる必要があり、物理的・法的に困難な場合が多いです。
  • 被視認性の低さ:特定原付は車体が小さいため、他の自動車から見落とされやすいという弱点があります。特に、追い越しのために進路変更をすると、死角に入りやすく、重大な事故を誘発する危険性があります。
  • 交通全体の流れの維持:比較的低速な特定原付が無理な追い越しを行うことで、後続車が急ブレーキをかけるなど、全体の交通に悪影響を及ぼすことを防ぐ目的もあります。

これらの理由から、法律は特定原付のライダーと周囲の交通の安全を守るために、追い越し行為を厳しく制限し、実質的に推奨していないのです。

特定原付で追い越しが「違反」になる具体的なケース

標識を見逃すな!「追越し禁止」の場所でのルール

道路には「追越し禁止」の標識(車両が他の車両を追い越しているイラストに赤い斜線が入ったもの)が設置されている場所があります。この標識がある場所では、特定原付は、たとえ相手が自転車などの軽車両であっても追い越すことはできません。

このルールは絶対であり、例外はありません。「周りに車がいないから」「少しだけなら大丈夫だろう」といった自己判断は絶対にやめましょう。標識があるということは、そこが見通しの悪いカーブや坂道など、追い越しをすると特に危険な場所であることを示しています。

黄色いセンターライン(追越しのためのはみ出し禁止)の罠

センターラインが黄色い実線で引かれている道路も多くあります。これは「追越しのためのはみ出し通行禁止」を意味します。

この黄色い線をはみ出して前の車を追い越すことは、もちろん違反です。たとえ前の車が非常に低速で走行していても、対向車線にはみ出して追い越すことはできません。ただし、工事車両や駐車車両を避けるなど、追い越し以外の目的でやむを得ずはみ出すことは可能です。

白い破線のセンターラインの場合は、はみ出して追い越すこと自体は禁止されていませんが、前述の通り、特定原付は速度制限と左側端通行義務があるため、安全かつ適法な追い越しは極めて困難です。

法律で定められたその他の追い越し禁止場所

道路交通法では、標識や表示がない場所でも、事故の危険性が高い特定の場所での追い越しを一律で禁止しています(道路交通法第30条)。警察庁のウェブサイトでも注意喚起されているこれらの場所を、しっかりと覚えておきましょう。

  • 道路の曲がり角付近
  • 上り坂の頂上付近
  • こう配の急な下り坂
  • トンネル(車両通行帯がない場合)
  • 交差点とその手前から30メートル以内の場所
  • 踏切とその手前から30メートル以内の場所
  • 横断歩道や自転車横断帯とその手前から30メートル以内の場所

これらの場所は、見通しが悪かったり、歩行者や他の車両が飛び出してきたりする可能性が高い危険なエリアです。特定原付に限らず、すべての車両で追い越しが禁止されています。

特定原付に関するよくある質問(FAQ)

Q. 前の車が時速10kmくらいで走っています。追い越してもいいですか?

A. いいえ、安全かつ適法な「追い越し」は極めて困難なため、推奨されません。特定原付は最高速度が20km/hに制限され、原則として道路の左側端を通行する義務があるため(道路交通法第18条第1項)、前の車が軽車両でない限り、進路変更を伴う追い越しは、安全性を考慮しても、また、左側端通行の義務を考えると、現実的ではありません。無理な追い越しは通行区分違反や追越し違反(道路交通法第30条)となる可能性があります。焦らず、十分な車間距離を保って追従してください。

Q. 追い越し禁止場所で、自転車を追い越すのは違反ですか?

A. はい、違反になる可能性があります。「追越し禁止」の標識がある場所では、軽車両である自転車も追い越すことはできません(道路交通法第30条)。また、黄色いセンターラインをはみ出して追い越すことも違反です。安全に進路変更をせず「追い抜ける」状況でない限り、追従するのが正解です。

Q. 追い越し違反の罰則はありますか?

A. はい、あります。追い越し違反(追越し禁止場所違反など)は、交通反則通告制度の対象であり、反則金の納付や違反点数が科されます。さらに、信号無視や通行区分違反、歩道徐行等義務違反などの特定小型原動機付自転車危険行為3年以内に2回以上繰り返した運転者には、特定小型原動機付自転車運転者講習の受講が義務付けられます。この講習義務には従わない場合、5万円以下の罰金が科される可能性があります。単なる反則金だけでなく、講習義務のリスクがあることを認識し、「知らなかった」では済まされないため、ルールは必ず守りましょう。

まとめ:安全第一!特定原付は「追い越さない」運転を

今回は、特定原付の「追い越し」に関するルールを詳しく解説しました。

  • 追い越しは実質的に困難・非推奨:特定原付は、速度制限(20km/h)と左側端通行義務により、安全かつ適法に進路変更を伴う追い越しを行うことは極めて困難です。
  • 「追い越し」と「追い抜き」は違う:「進路変更」を伴うかが判断基準です。
  • 禁止場所を覚える:標識のある場所や交差点、トンネルなど、道路交通法第30条で定められた追い越し禁止場所をしっかり把握しましょう。

特定原付は、正しく使えば非常に便利な乗り物です。しかし、その手軽さゆえに交通ルールを軽視してしまうと、大きな危険が伴います。特に追い越しは、重大な事故につながる可能性の高い行為です。

前の車が遅くても焦らず、十分な車間距離を保つ。「追い越す」のではなく、安全に「追い抜ける」場面以外は、決して無理をしない。この意識を持つことが、あなた自身と周りの人の安全を守る上で最も重要です。

特定原付の交通ルールは、追い越し以外にもたくさんあります。ヘルメットの着用努力義務や通行場所など、安全に関わるルールを学び、スマートな特定原付ライフを送りましょう。

より詳しい交通ルールについては、警察庁の公式サイトもご確認ください。

道路交通法の条文については、e-Gov法令検索も参考にしてください。

特定原付の基本ルールについては、こちらの記事も参考にしてください。

特定小型原動機付自転車についての外部リンク

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