
2023年7月の法改正で登場した、免許不要で乗れる「特定小型原動機付自転車」(以下、特定原付)。通勤やちょっとした移動の新しい選択肢として注目されていますが、「種類がよくわからない」「結局どれを選べばいいの?」と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
特に、「特定小型原付」と「特例特定小型原付」という、名前がよく似た2つの区分には混乱しがちです。実はこの違いを理解しないと、思わぬ交通違反につながる可能性も。でも、ご安心ください。
この記事では、特定原付のルールを日々追いかけている筆者が、この2つの違いを世界一わかりやすく解説します。「歩道を走れるのはどっち?」「見た目で見分けられる?」といった疑問にズバリお答えし、あなたの使い方に合った最適な一台を見つけるお手伝いをします。
※この記事には広告が含まれています。
目次
この記事の要点まとめ
- 一番の違いは「歩道走行ができるかどうか」。
- 「特例特定小型原付」だけが、「道路標識等により通行可とされている場合に限り」時速6km以下で歩道を走行可能。
- 見分けるポイントは「最高速度表示灯」。法令(国土交通省告示)に基づき緑色のランプが点滅していれば歩道走行モード。
- 【最重要】2024年12月23日以降、最高速度表示灯がない車両は特定原付の要件を満たさず、運転免許が必要な一般原付扱いとなるため注意が必要。
- どちらのタイプも免許不要(16歳以上)ですが、ナンバープレートと自賠責保険は必須。
「特定」と「特例特定」原付の決定的違いは「歩道走行」の可否
一目でわかる!「特定」と「特例特定」の違い比較表
まずは、2つの違いをシンプルな比較表で見てみましょう。重要なポイントはたったの3つです。
| 項目 | 特定小型原動機付自転車 | 特例特定小型原動機付自転車 |
| 通称 | 車道走行モード | 歩道走行モード |
| 最高速度 | 20km/h | 6km/h |
| 走行可能な場所 | 車道、自転車道 | 車道、自転車道、歩道(標識がある場合に限る) |
| 最高速度表示灯 | 緑色に点灯 | 緑色に点滅 |
| 免許 | 不要(16歳以上) | 不要(16歳以上) |
| ヘルメット | 努力義務 | 努力義務 |
| ナンバープレート | 必須 | 必須 |
| 自賠責保険 | 必須 | 必須 |
このように、基本的なルール(免許、ヘルメット、ナンバー、保険)は全く同じです。最大の違いは、「特例」の方は時速6kmに速度を制限することで、特例的に歩道を走行できるという点に尽きます。
「特例特定小型原動機付自転車」とは?歩道を走れる特別なモード
特例特定小型原動機付自転車は、独立した車両の種類というよりは、特定原付が持つ「特別なモード」と理解するのが正確です。つまり、1台の車体が「特定(車道モード)」と「特例(歩道モード)」の2つの顔を持っているのです。
このモード切替機能がついているモデルだけが、特例特定小型原動機付自転車として歩道を走行できます。なぜこのような仕組みがあるのでしょうか?それは、交通量の多い車道での安全性を確保するためです。
例えば、「交通量の激しい国道を走るのが怖い」「路肩が狭くてトラックがすぐ横を通り過ぎて危険」といった状況で、一時的に歩道へ退避できるのは大きなメリットです。自転車のように、状況に応じて安全な場所を選んで走行できる、いわば「安全装置」のような機能が特例モードなのです。
ただし、特例特定原付が歩道を通行できるのは、「道路標識等によりその通行ができることとされている場合」に限られます。これは、歩道に「普通自転車等及び特定小型原動機付自転車通行可」の標識が設置されている場合に限ることを意味し、標識がない歩道は通行できません。また、歩道では絶対的に歩行者が優先です。時速6kmという、早歩き程度の速度でしか走行できず、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなければなりません。あくまで「特例的」な走行であることを忘れないようにしましょう。(警視庁)
どう見分ける?識別灯火(最高速度表示灯)の緑点灯・点滅が鍵
では、走行している特定原付がどちらのモードなのか、どうやって見分ければよいのでしょうか。警察庁の資料によると、その鍵は車体の前後に取り付けられた「最高速度表示灯」という道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(第326条)に基づき緑色と定められたランプにあります。(国土交通省)
- 緑色のランプが点灯 → 特定モード(最高速度20km/h) → 歩道走行は不可
- 緑色のランプが点滅 → 特例モード(最高速度6km/h) → 歩道走行が可能
このランプにより、周囲の車や歩行者が、その特定原付がどのような状態で走行しているのかを一目で判断できるようになっています。もしあなたが特例モード非対応のモデル(最高速度表示灯が点灯しかしない、または付いていない)で標識のない歩道を走ると、通行区分違反として取り締まりの対象になるため、絶対にやめましょう。
【最重要】2024年12月23日以降のルール変更に注意
道路交通法改正の施行(2023年7月1日)前に製造された車両には、最高速度表示灯の備え付けが令和6年12月22日(2024年12月22日)まで猶予されていました。この猶予期間が終了した2024年12月23日以降は、最高速度表示灯が備えられていない車両は特定小型原動機付自転車の要件を満たさなくなります。その結果、運転免許が必要な一般原動機付自転車の交通ルールが適用されることになります。古いモデルの購入・所有者は、必ず最高速度表示灯が備えられているかを確認し、必要に応じて改修を行う必要があります。
詳しくは、警視庁や国土交通省の公式サイトでご確認ください。
結局どっちを選ぶべき?あなたの使い方に合うモデルの選び方
「特例」モードは必須?歩道走行のメリット・デメリット
「特例モード(歩道走行機能)があった方がいいのは分かったけど、本当に必要?」と悩むかもしれません。そこで、メリットとデメリットを整理しました。
メリット:圧倒的な「安心感」
- 交通量が多い道での安全確保: 大型トラックが頻繁に通る道や、路側帯がほとんどない道など、車道を走り続けるのが危険な場面で歩道にエスケープできます。
- 初心者でも安心: 運転に慣れていないうちは、車との並走に恐怖を感じることがあります。いざという時に歩道に移れる選択肢があるだけで、精神的な負担が大きく減ります。
デメリット:コストと過信への注意
- 価格がやや高くなる傾向: モード切替や最高速度表示灯などの追加機能があるため、非対応モデルに比べて価格が少し高くなることがあります。
- 歩道でのルールは厳しい: あくまで歩行者優先であり、自由にスイスイ走れるわけではありません。歩行者がいれば徐行や一時停止が義務付けられており、快適な移動手段とは言えません。
結論として、特例モードは「日常的に使う快適機能」ではなく、「万が一の安全機能」と捉えるべきです。 特に、通勤・通学ルートに交通量の激しい道路が含まれる方や、運転に自信がない初心者の方にとっては、価格差以上の価値がある「保険」のような機能と言えるでしょう。
【結論】歩道も走れるおすすめは「Sun Emperor SE-Easy」一択
安全性と長距離移動、どちらも妥協したくないなら「Sun Emperor SE-Easy」が唯一の選択肢です。自転車タイプの安定性とパワフルな性能で、あなたの移動を快適にサポートします。
【安定性と80kmの航続距離】Sun Emperor SE-Easy
「Sun Emperor SE-Easy」の最大の魅力は、なんといっても80kmという圧倒的な航続距離。頻繁な充電から解放され、週末の遠出も安心して楽しめます。また、特定原付では珍しい自転車タイプなので、キックボードのような立ち乗りスタイルに不安がある方でも、安定して運転することができます。スマートキーや警報装置といった盗難対策も万全で、まさに日常の頼れるパートナーとなる一台です。
- こんな人におすすめ
- 充電の手間をできるだけ減らしたい方
- 立ち乗りよりも安定した自転車タイプを求める方
- 通勤・通学から休日のサイクリングまで幅広く使いたい方
特定原付に関するよくある質問(FAQ)
Q. 特定小型原付と電動キックボードの違いは?
A. 「電動キックボード」は乗り物の形状の呼び名、「特定小型原付」は法律上の車両区分です。したがって、「特定小型原付の基準を満たした電動キックボード」が存在します。見た目が電動キックボードでも、特定原付の保安基準(最高速度表示灯など)を満たしていないと公道は走れません。購入時は、性能等確認制度の認定シールが貼られているかを確認するのが最も確実です。
Q. ナンバープレートなしは違反?
A. はい、明確な違反です。「特定」「特例特定」どちらのタイプでも、公道を走行するには市区町村の役所で交付されるナンバープレートの取り付けが義務付けられています。手続きは簡単で、費用もかからない場合がほとんどです。必ず取得しましょう。
Q. ヘルメットは本当にいらないの?
A. 法律上は「努力義務」とされており、着用しなくても罰則はありません。しかし、最高速度20km/hは自転車よりも速く、転倒時のリスクは非常に高いです。警察庁も着用を強く推奨しています。自分の命を守るために、ヘルメットは必ず着用しましょう。
Q. 税金はかかる?
A. はい、かかります。特定原付は軽自動車税(種別割)の対象となり、総務省の定める標準税率は年間2,000円です。ナンバープレートを登録すると、毎年春ごろに納付書が送られてきます。(総務省)
まとめ:「特定」と「特例特定」原付の違いを理解して、あなたに最適な一台を選ぼう
今回は、「特定小型原動機付自転車」と「特例特定小型原動機付自転車」の違いについて解説しました。
ポイントをおさらいしましょう。
- 最大の違いは「歩道を時速6kmで走行できるか」どうか(ただし、標識がある場合に限る)。
- 歩道走行できるのが「特例特定小型原動機付自転車」で、最高速度表示灯の緑色点滅が目印。
- 特例モードは、危険な車道を回避するための「安全機能」としての価値が高い。
- 【最重要】2024年12月23日以降、最高速度表示灯がない車両は一般原付扱い(免許必須)になるため、必ず確認が必要。
この違いを理解すれば、数多くの特定原付の中から、本当に自分に必要な機能が何かを見極めることができます。交通量の多い道を走るなら特例モード対応モデルを、そうでなければ車道走行に特化したシンプルなモデルを選ぶのが合理的です。
この記事で紹介したモデルを参考に、あなたのライフスタイルを豊かにする最高の一台を見つけてください。
特定小型原動機付自転車についての外部リンク
特定小型原動機付自転車について
- 特定小型原動機付自転車について(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車について(経済産業省)
- 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう(国土交通省)
- 特定小型原動機付自転車ってなに?(PDF)(国土交通省)
- ルールを守って電動キックボードに乗ろう(PDF)(国土交通省)
- 電動キックボード等の概要説明リーフレット(PDF)(警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通ルールについて
- 電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう!(政府広報オンライン)
- 電動キックボード等に法改正 乗るならルールを知ってから!(政府広報オンライン)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警視庁)
- 特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について(警察庁)






